- 2019年4月12日ドコモ講演
- 5GNR(New Radio)
- 5Gの誤解
- 5Gの課題と解決
- KDDIの5Gビジネスモデル
- KDDIこれからの5Gについて
- KDDI 5Gの現状
- KDDI 5G環境整備状況
- 定額制データプラン思惑
- 世界の5Gサービス提供状況
- 5Gサービス先行提供事業者「LG Uplus」
- KDDIとLG Uplus共同開発
- KDDIの見据える5G時代
- KDDI「リカーリングモデル」
- 5G時代のパートナーシップ、キャリア間でも“競争と協調”
- KDDIとNVIDIAのAIの可能性
- KDDIとJALとの連携
- KDDIの5Gビジネス「リカーリングモデル」
- ソフトバンクの5Gビジネスへの応用
- 新たなビジネスモデル
- ソフトバンク5Gの活用(プレサービス)
- プレサービスにおける課題
2019年4月12日ドコモ講演
NTTドコモ(以下、ドコモ)の執行役員で5G(第5世代移動通信)イノベーション推進室室長の中村武宏氏は2019年4月12日、東京都内で開催された「Keysight 5G Summit 2019」のなかで、「5Gのリアルと未来」と題した基調講演を行った。
世界的にも5Gの商用化が前倒しドコモも商用化に向け取り組みや今後の展望を説明
5GNR(New Radio)
5Gの無線方式「Release 15」
完成Release 16の策定中
ホワイトペーパーやテクニカルジャーナルによる情報共有
【ワークショップの開催】
5G技術検証環境ドコモ5Gオープンラボ実験基地局装置や周辺接続機器の無償提供などを行うドコモオープンパートナープログラム。パートナー企業2500社
実証実験140件以上のソリューション事例
- テレビ中継+リアルタイムAR(拡張現実)「ジオスタ・サッカー」
- 東京スカイツリー、東京ビックサイト、福井県恐竜博物館の3箇所リアルタイムセッション:ヒューマノイドロボットの遠隔操作
5Gの誤解
- 5Gは導入当初からどこでも使える
→一部エリアから導入、数年単位で拡大
- どこでも10Gビット/秒(bps),1ミリ秒の低遅延が提供される
→端末性能としては5Gbps程度、遅延はネットワーク構成や基地局とサーバの距離に応じて異なる。数ミリ秒〜数十ミリ秒
- あらゆるユースケースに最初から対応可能
ビジネスモデルと成立しなければならない
5Gの課題と解決
ミリ波は遮蔽(しゃへい)に弱いなどの問題点がある
→ミリ波カバレッジの改善
基地局設置に加え、無線アクセス・バックホール統合伝送など、簡単にミリ波のカバレッジを広げる技術やデバイス技術の適用。その例として、AGCと共同開発した「5Gガラスアンテナ」や、電波の方向を変更できるメタマテリアル反射板など
上りリンクの性能改善・産業向けユースケースへの高性能提供
特定エリア専用とした「Dedicated Network」を用意することが有望であるとし、ドコモが現在検討を進めている、ハンドキャリー型の移動基地局によって、簡単に専用のセキュアなエリアが用意できる「カスタマイズネットワーク構想」
【自動運転】5Gガラスアンテナ
「第11回 カーエレクトロニクス技術展」(2019年1月16~18日、東京ビッグサイト)で、車載向けの5G(第5世代移動通信)ガラスアンテナと、それを搭載したフロントガラスなどを展示した。対応周波数帯は28GHz
- 5GガラスアンテナはAGCが開発
- モジュールタイプと透明タイプと2種類
透明タイプでは、人の目では見えないくらいまで細かくした金属の粒子で、石英ガラスにアンテナのパターンを形成している。
エリクソン・ジャパンの5G基地局装置および移動局装置を使って、このガラスアンテナを搭載した車両でテストコースを走行する実証実験
時速約30kmで最大11Gビット/秒の高速通信ができることを確認
【自動運転】の課題
クルマのフロントガラスやリアガラスは、金属フレームに電波が遮蔽されてしまう為、アンテナを設置できる場所が限られている
KDDIの5Gビジネスモデル
2019年6月27日法人向けイベント「KDDI 5G SUMMIT」を開催。基調講演では、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏が登壇
KDDIこれからの5Gについて
令和元年であり5G元年、政府などが進めている「Society 5.0」を実現するため、5Gがインフラとして大切であり、デジタルトランスフォーメーションを加速させる役割もあると語る。
革新のなかで重要なのは「何のためにその技術を使うか」ということ
KDDI 5Gの現状
KDDIの5G向け周波数は、「Sub-6」と呼ばれる3.7GHzと4.5GHzのなかで100MHz幅、28GHzのなかで400MHzが割り当てられた。これは、総務省に対し、積極的な取り組みを提案したことが評価されたという。グローバルにおける5Gの一般的な周波数を獲得できたことで(自社の周波数に合わせた仕様変更をせずに済むことから)端末やインフラ設備の調達価格を抑えられる。
5Gのサービス開始時期は2020年3月で、2024年度末までの基地局構築数は、楽天モバイルを含めたMNOの中では最大となり、4万局越えを予定
2019年秋開催のラグビーワールドカップにあわせてトライアルを行う予定
KDDI 5G環境整備状況
4Gネットワークを利用し、2019年秋から5Gを意識したサービス展開を「プレ5G」として行い、実際に5Gをサービスを開始する2020年春から4Gネットワークをベースとし、5Gエリアをスポット的に展開していき、エリアの広い4Gと、速度の出る5Gの“ハイブリット運用”でサービスを提供する。2022年3月には5Gのネットワークが広がっていく
定額制データプラン思惑
auデータMAXプランの提供により、ハイブリットなネットワークで定額制サービスを提供することで「世の中やビジネスの作り方が変わる」一般ユーザーに対しては新しいサービス、法人向けにはあらゆる分野に通信が適用されると語る
世界の5Gサービス提供状況
5Gサービス提供開始を米国と韓国で競い合い、数時間差で韓国が世界初の5Gサービスの提供を始めた。その他、中国や欧州で2020年に商用化される。
5Gサービス先行提供事業者「LG Uplus」
Corporation Executive Vice President / Business Solution Divisionの崔 周植(チェ ジュシク)氏が、韓国での取り組みを紹介
LG Uplusの取組み
5Gについて全社的な組織を作って取り組む
5Gユーザーは、LTEユーザーの3倍ほどのデータを使うまでになった。
販売して2カ月で韓国国内の5G契約者数は100万人を超えた。端末の販売シェアでも、3割程度のユーザーが5G対応端末を選ぶという
韓国2019年末5G人工カバー率93%予測
- LG Uplusは、5Gサービスを、一般ユーザー向けにはVRやスポーツ観戦などで提供
- VRとARのコンテンツは1500作品ほど用意。内7割は3Dサービス
- 法人向けサービス「コネクテッドカー」「スマートドローン」などの5分野を重点的に取り組む
5G対応スマートフォンのラインナップも拡充されることで、韓国国内の5G契約者数は400~500万人になると見込む
KDDIとLG Uplus共同開発
KDDIとLG Uplusが「スマートドローン」プラットフォームの開発に向けて業務提携
グローバルでのドローン市場の発展に向け、取り組む
提携により、インターフェイスの共通化が行われ、アプリケーションの相互利用、ドローン周辺機器の共同開発、通信モジュールなどの共用化検討が行われる。
KDDIの見据える5G時代
サブスクリプションモデルから循環型モデルへ
5Gが普及することでビジネスモデルが変わり、顧客との関係性が再構築される。
これまでは、売り切りモデルの「フロー」、そして現在の定額制サービスモデルの「サブスクリプションモデル」でサービスなどが提供されてきた。5Gが普及すれば、データと価値提供が循環する「リカーリングモデル」が実現すると説明
KDDI「リカーリングモデル」
リカーリングモデルでは、IoTで集まったデータが5Gを経由し、AIによって分析されることで循環し、実現していくという。データの循環が起きれば、顧客と法人の関係が深くなり新しい価値につながる。そのようなモデルを5Gに通して実現していきたい
日本では100年以上続く企業が他国に比べ多い。持続的成長を志向する日本企業にとってリカーリングモデルは、最適であり、5Gは重要なプラットフォームではと指摘
信用性の高いネットワークと革新的な技術の実現
リカーリングモデルを日本で実現するキーワードとして、「トラステッド(信頼性)&イノベーティブ(革新的)」を掲げる。
トラステッドの面として、KDDIは、これまでIoT領域で20年の提供実績がある。その信頼性を生かし、トヨタ自動車にテレマティクスサービス、グローバルにIoTネットワークを提供する「IoT世界基盤」を展開している
イノベーティブの面では、KDDIグループのソラコムが実現するIoTサービスや、パブリッククラウド上にコア機能を実現するネットワーク仮想化技術「SORACOMモバイルコア」などを挙げた
5G時代のパートナーシップ、キャリア間でも“競争と協調”
5G時代の新しいパートナーシップについて説明した。オペレーター(通信事業者)間でも“競争と協調”が起きるのではと予測
具体的には、サービスや料金面では“競争”をしていくが、5Gのインフラでは必要に応じてシェアをする“協調”が起きる
パートナーシップを作るうえでは、IoT世界基盤といった取り組み以外にも特化型のプラットフォームが必要なのではと指摘
同社は、さまざまな企業とともに「スマートドローン」と、「MaaS」に向けたプラットフォームを用意
KDDIとNVIDIAのAIの可能性
NVIDIAの日本代表兼米国本社副社長 大崎真孝氏
AIの学習から実行といった循環させる流れは、リカーリングモデルであり5Gによりさまざまな分野でのAIの活躍に期待
NVIDIA のGPUがKDDIのビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」に導入。この取り組みにより、5GとAIを利用したスタートアップの支援が行われる。
高橋氏からKDDI DIGITAL GATEが東京 虎ノ門にある施設に加え、大阪と沖縄に、2019年秋にオープンされることが明らかにされた。虎ノ門の施設と同じようにスタートアップ企業の支援や、法人向けに新たなビジネスソリューションの創出が行われる。
同施設以外にも、スタートアップを支援する仕組みとして、Googleなどのパートナー連合からの支援も行われる。また、広告事業を手掛けるSuperShipなどのグループ子会社とも連携し、スタートアップ企業への出資の“目利き”などを行う
高橋氏自身も、パートナーと挨拶をする際に、相手企業の中期計画を見て、それぞれが持つ経営資源を組み合わせて何が実現できるか話し、KDDI DIGITAL GATEに誘いかけている
KDDIとJALとの連携
空港設備支援などの実用化
5Gを利用した実証実験を行っている日本航空の常務執行役員 イノベーション推進本部長 西畑智博氏が登壇
(高橋氏とは、EZwebで航空券を購入できる仕組みを実現したときからの付き合いだという)
JALの今後のイノベーションについて
「かっこよさではなく、本当につかえるものを」というコンセプトの「地に足のついたイノベーション」を実行する。
その取り組みのため「JALイノベーションプラットフォーム」を創設し、イノベーション拠点である「JAL INNOVATION Lab」を設立
5Gなどのキーテクノロジーを利用し、顧客向けだけでなく、整備などのオペレーション業務にもイノベーションを起こすという。具体的には、KDDIと実証実験が行われたタッチレス搭乗ゲートや、ARグラスを利用した整備作業の遠隔支援など
両社らの研究施設であるKDDI DIGITAL GATEと、JAL INNOVATION Labがサービスの研究開発、実用化に向け、提携の強化が行われることが発表された。西畑氏は、今後、KDDIに対して端末や基地局などのインフラの普及の早期化を期待
KDDIの5Gビジネス「リカーリングモデル」
最後に高橋氏は「5Gや、ビックデータなどをそういったキーワードだけをしゃべる人間は信じちゃいけない。これからは、実現できるユースケースを語れるような時代にしていきたい。リカーリングモデルをみなさんと一緒に実現するためにはパートナーの力が必要で、みなさんとパートナーシップを構築していきたい」
ソフトバンクの5Gビジネスへの応用
5Gを利用することで我々の生活が発展することについて何度も言及してきましたが、具体的にビジネスにどのように影響されていくのでしょうか。
これについて2018年10月にソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏はスマホを中心としたBtoCビジネスからBtoBtoXのサービス共創時代がやって来ると言及しています。
それと同時に、VR、電気産業、自動運転、ヘルスケア産業、自動マニュファクチャリングなど多くの分野で5Gのビジネス応用を行うことが出来ると期待されています。
新たなビジネスモデル
B to B to Xのビジネスモデル確立
従来通信事業者は、スマートフォンを対象とした通信回線サービスを提供してきました。そのため、通信概査と企業・ユーザーの2者間でのビジネスモデル(BtoC)が一般的
しかし、モノが何にでもネットに繋がる時代においてそれぞれの通信ニーズは変わる
そのため、それぞれの産業毎に必要なアプリケーションの開発や通信システムを創出する「バーティカル・プレーヤー」の存在が必要
バーティカル・プレーヤーによるサポートの元、ニーズにあった通信手段を企業やユーザーに届けるモデル(BtoBtoX)に変わった
VR分野での5G導入
5Gを利用したVR領域での応用は、スマホやVR機器を通して多くの期待が寄せられている
例えば、産業向けにVR空間でのショールーム提供や、観光産業向けに文化財のVRストリーミング、また教育機関向けにはVR空間での講義やセミナーなどの開催が期待できます。
もちろんこれらは通信システムだけでなく、VR環境自体の発展も必要になりますが、このような高い容量を遅延なく届ける必要があるコンテンツは5G通信がなければ円滑に動作することが出来ません。
自動車分野の5G導入
自動車分野での応用はKDDIやNTT、トヨタなど様々な企業が実証試験を行っています。
車など1秒以下の誤差を必要とする物においては、5G回線が非常に重要になってきます。5G回線を利用して、自動車に取り付けられたカメラから送られてくる情報を元に解析サーバーが異常を検知し、車の動作を決定するからです。
このような取り組みが問題なく成功すれば自動運転車の実用にぐっと近づくことができるのではないでしょうか。
ヘルスケア分野での5G導入
カリフォルニア大学・バークレー校のDavid Teece氏はヘルスケア業界に5Gを導入すると、2035年頃には1.1兆米ドルを超える経済効果を発揮すると発言するほど期待されています。
遠隔による医療サービスや遠隔手術、生活支援など操縦者と患者の通信遅延間隔が短くなればなるほど様々な分野で応用することが出来ます。
ソフトバンク5Gの活用(プレサービス)
2019年プレサービス
- フジロックフェスティバル‘19
- 8/22さいたまアリーナバスケットボール日本代表戦
スタジアム内に1カ所基地局を設置
4G用の3.5GHz帯を通常40MHz幅を利用(フジロックは100MHz利用)
今回の5G仕組み
制御信号(コントロールプレーン)のやりとりにLTEを使う「NSA(ノンスタンドアロン)」方式を採用。アンカーバンドはLTEの1.7GHz帯を利用
AR、VR映像をユーザーへ提供
ソフトバンクはさいたまスーパーアリーナを5Gデモとして展示。コンテンツ名「リアルタイムスタッツ」映像にリアルタイムのデータを重ねたもの
- VRゴーグル「Oculus Quest」
- nrealのARグラス
プレサービスにおける課題
スタジアム全体をカバーする設備
電波状況を考え、人体ロスにも考慮する。4Gよりも周波数帯が高く直進性が強い為、設置場所の追加
対応端末の問題
現状5Gが適用された端末をしておりユーザーが持ち合わせているとは限らない
サービスやコンテンツがリアリティーにかける(既視感がある)今後に期待