オンライン学習の選択肢が増えた現代、どちらが自分に合っているのかを選ぶのは難しいかもしれません。オンライン大学とMOOCs(大規模公開オンラインコース)は、それぞれ異なる特徴とメリットを提供しています。どちらが自分の学習スタイルやキャリア目標に合っているのかを理解することが重要です。
オンライン大学とMOOC(ムーク)の違いを明確にすることは、最適な学習方法を選ぶための第一歩です。 本記事では、オンライン大学とMOOCの特徴を詳細に比較し、それぞれのメリットとデメリットを明らかにします。記事を読み終えた後には、自分の学習ニーズに最も合った選択肢を見つけるための知識を得ることができるでしょう。
オンライン大学とMOOCの概要
オンライン大学は、従来の大学教育をオンラインで受けられる新しい形の教育機関です。それに対し,MOOCは、誰でも簡単にアクセスできるオンラインコースです。
オンライン大学の概要
オンライン大学とは、大学のカリキュラムを完全にオンラインで提供する教育機関です。 伝統的な大学と同様に、認定を受けた学位を取得することができます。コースの内容は、学期制で進行し、講義、課題、試験などが含まれます。学生は定期的に課題を提出し、オンラインで教授やクラスメートと交流することが求められます。
オンライン大学の特徴
学習コスト: オンライン大学の学費は、通常数十万円から数百万円の範囲で、高額になることがあります。例えば、学費が約1,200~2,400 USDのコースは、日本円で約168,000~336,000円に相当します。
資格・認定: オンライン大学では、学士、修士、博士などの学位や専門的な認定資格を取得できるため、キャリアの向上や転職に役立ちます。
カリキュラム: 学問分野ごとに体系的に設計されたカリキュラムが提供され、専門的な教授陣による指導のもと、計画的な学びが可能です。
サポート: アカデミックアドバイザーやキャリアカウンセリングなど、充実した学業サポートやネットワークが提供され、就職活動やキャリア形成にも支援が得られます。
学習の自由度: オンライン大学のプログラムには決められた学期や授業スケジュールがあり、自由な学習ペースが制限されることがあります。
カリキュラムの体系: 特定の分野に深く焦点を当てて体系的に設計され、基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。
入学条件: 入学試験や学歴の条件が設定されていることが多く、特に人気のあるプログラムでは入学条件が厳しいことがあります。
日本のオンライン大学(一部)
世界規模であれば多くの大学がヒットしますが,主な日本のオンライン大学に絞って紹介します。
- 東京通信大学所
- 在地: 東京都新宿区西新宿1-7-3
- 特徴: 2018年に開学した通信制大学で、ITや福祉分野の学士号を取得可能です。授業や試験はすべてオンラインで行われ、通学不要で卒業できます。
- 学費:初年度納入金は451,000円(選考料 10,000円、入学金 30,000円、授業料 380,000円、学籍管理料 31,000円)。卒業までの概算学費は1年次入学で127万4,000円、3年次編入で85万2,000円
- サイバー大学
- 所在地: 福岡県福岡市東区香椎照葉3-2-1 シーマークビル 3F
- 特徴: ソフトバンクグループが運営する日本初の完全オンライン大学です。ITやビジネスの知識を幅広く学べるカリキュラムを提供しています。
- 学費:初年度納入金は100,000円(入学金)、授業料金は1単位あたり22,000円。卒業までの概算学費は1年次入学で296万2,000円~、3年次編入で153万円~
- 京都芸術大学 通信教育部
- 所在地: 京都市左京区北白川瓜生山2-116
- 特徴: 芸術研究科では、完全オンライン,芸術関連の研究が可能です。
- 学費:年間学費は36万円からと比較的安価です。
- 大手前大学 通信教育部
- 所在地: 兵庫県西宮市御茶家所町6-42
- 特徴: 現代社会学部では、オンライン授業のみで卒業可能で、日本語教員養成課程なども提供しています。
- 学費:初年度納入金は380,000円(入学検定料 10,000円、入学金 20,000円、在籍料 24,000円、授業料 326,000円)。卒業までの概算学費は1年次入学で142万円、3年次編入で72万円
- 創価大学 通信教育部
- 所在地: 東京都八王子市丹木町1-236
- 特徴: 経済学や法律学など多様な分野をオンラインで学べ、日本語教師や社会教育士の資格取得も目指せます。
- 学費:初年度納入金や年間授業料について不明
MOOCの概要
日本では馴染みのない教育プララットフォームですがMOOC(Massive Open Online Courses)は、誰でも無料または低価格で参加できるオンラインコースです。世界中のさまざまな大学や教育機関が提供しており、広範なトピックをカバーしています。コースは通常、短期間で学べるように設計されており、自己学習形式で進められます。
MOOC(ムーク)とは?
MOOCの起源は2008年に遡ります。この年、カナダの教育者であるジョージ・シーメンズとスティーブン・ダウンズが「Connectivism and Connective Knowledge」というコースを開講し、これが最初のMOOCとされています。このコースは、オープンなオンライン学習の可能性を示すものでした。
その後、2011年にはスタンフォード大学が「Introduction to AI」というコースを無料で提供し、16万人以上が登録しました。この成功がきっかけとなり、MOOCsは急速に注目を集めるようになりました。
2012年には、edX(ハーバード大学とMITによる共同プロジェクト)、Coursera(スタンフォード大学の教授によって設立)、Udacity(同じくスタンフォード大学から派生)などのプラットフォームが登場し、MOOCの普及を加速させました。これらのプラットフォームは、世界中の大学や教育機関と提携し、多様な分野のコースを提供しています。
MOOCはその後も進化を続け、特に職業訓練やスキルアップに焦点を当てたナノディグリーや専門資格プログラムなどが登場しました。これにより、学位取得だけでなく、特定のスキル習得にも利用されるようになっています。
MOOCは教育の民主化に寄与し、多くの人々に学習機会を提供していますが、一方で受講者の完了率が低いという課題も指摘されています。それでもなお、MOOCは今後も教育の重要な一部として発展していくことが期待されています。
MOOCの一部としてナノディグリープログラムが派生しています:以下参考記事
MOOCの特徴
学習コスト: MOOCsは、多くの場合無料で参加でき、課題や試験に対する追加費用が発生することもありますが、基本的には低価格で学習を開始できるため、気軽に利用できます。
資格・認定: MOOCsでは、証明書や修了証を提供しますが、正式な学位や認定資格を取得することはできません。証明書はスキルや知識の習得を示すもので、履歴書に役立ちます。
カリキュラム: 多くの分野やトピックからコースを選べ、プログラミング、デザイン、ビジネスなどのテーマについて短期間で実用的なスキルを効率的に学べます。
サポート: コースによってサポートが限定的で、質問やフィードバックを受けるためのフォーラムやコミュニティが提供されますが、個別のサポートは充実していないことが多いです。
学習の自由度: 自分のペースで学習を進めることができ、忙しいライフスタイルや仕事のスケジュールに合わせて学ぶことができます。
カリキュラムの体系: 一部のコースは体系的でない場合があり、特定のテーマに焦点を当てているものの、全体的なカリキュラムが体系的でないことがあります。
入学条件: ほとんどの場合、入学条件が設定されておらず、誰でも自由に参加でき、学歴や前提知識の制限がありません。
受講可能な有名大学とMOOCプラットフォーム
- スタンフォード大学
- 提供プラットフォーム: Coursera, Udacity
- 特徴: コンピュータサイエンスやAI関連の講座が充実しています。
- マサチューセッツ工科大学(MIT)
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: 工学や科学技術分野の講座が豊富です。
- カリフォルニア大学バークレー校
- 提供プラットフォーム: edX, Coursera
- 特徴: データサイエンスやビジネス関連の講座が多いです。
- 東京大学
- 提供プラットフォーム: Coursera
- 特徴: 日本語での講座もあり、国際的な視点からの教育が受けられます。
- 京都大学
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: 科学技術や人文科学分野の講座が提供されています。
- ニューヨーク大学
- 提供プラットフォーム: Coursera
- 特徴: AIスキルやビジネス関連の短期講座が人気です。
- ソルボンヌ大学
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: フランス語での講座もあり、ヨーロッパの視点から学べます。
- スイス工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: 工学や自然科学分野で高評価を得ています。
- 清華大学
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: 中国語での講座もあり、アジア地域からのアクセスが多いです。
- ハーバード大学
- 提供プラットフォーム: edX
- 特徴: 多岐にわたる分野の講座を提供し、特にビジネスや医学分野が人気です。
「オンライン大学」と「MOOC」の特徴まとめ
特徴 | オンライン大学 | MOOC |
---|---|---|
学習スタイル | 学期制、講義や課題、試験が含まれる | 自己ペース、短期間で完結、自己学習形式 |
学位取得 | 学士、修士、博士などの正式な学位が取得可能 | 学位は取得できないが、証明書やバッジが取得可能 |
学費 | 高額な場合が多い | ほぼ無料(一部有料講義あり) |
カリキュラム | 系統的で計画的なカリキュラムが提供される | 単発のコースが多く、体系的でない場合がある |
サポート | 教授やクラスメートとの直接的なやり取りがある | フォーラムやコミュニティベースのサポートが主 |
選択肢 | 限られた学位プログラムから選択 | 多種多様な分野のコースから選択可能 |
学習の柔軟性 | スケジュールに縛られる場合がある | 高い自由度、スケジュールに縛られない |
この表により、オンライン大学とMOOCの違いを明確にし、どちらが自分に合っているかを判断材料にしてください。
それぞれの学習メリットデメリット
先ほどの概要説明を整理すると,以下のような形です。
オンライン大学
メリット:
- 公式な学位が取得できる
- 系列の大学により高い学術的認知
- 厳格なカリキュラムで体系的に学べる
デメリット:
- 学費が高い場合が多い
- 学期制で学習の自由度が低い
- スケジュールに縛られる可能性がある
MOOK(ムーク)
メリット:
- 無料または低価格で受講できる
- 自分のペースで学習できる
- 多くの選択肢があり、興味に合わせて選べる
デメリット:
- 認定された学位は取得できない
- 教材が単発で、体系的な学びが不足する場合がある
- サポートやフィードバックが限られる
特徴 | オンライン大学 | MOOC |
---|---|---|
学習コスト | ○ 高額な学費がかかる | ○ 無料または低価格で始めやすい |
資格・認定 | ○ 学位や認定資格を取得できる | 学位や正式な認定は取得できない |
カリキュラム | ○ 体系的なカリキュラムと専門的な指導が受けられる | ○ 幅広い分野から選べる |
○ 特定のスキルや知識を短期間で学べる | ||
サポート | ○ 大学のサポートやネットワークを利用できる | サポートが限られることがある |
学習の自由度 | 固定された学習スケジュールに縛られる | ○ 自分のペースで学習が可能 |
カリキュラムの体系 | ○ 深く、広範囲な学習が可能 | カリキュラムが体系的でない場合がある |
入学条件 | 入学試験や条件が厳しい場合がある | ○ 誰でも参加可能 |
よくある質問 (FAQ)
MOOCとオンライン大学の違いは何ですか?
MOOC (Massive Open Online Courses)は、誰でも参加できるオンラインのコースで、通常は無料または低価格で提供されます。世界中の教育機関や企業が提供し、多くの受講生が参加します。一方、オンライン大学は、正規の学位や資格を提供するために設計されたオンライン学習プログラムを提供する機関です。授業料が高めで、カリキュラムが厳格であるのが特徴です。
MOOCは無料で受講できると聞きましたが、本当に無料ですか?
多くのMOOCは基本的なコースを無料で提供していますが、証明書や追加の学習リソースが必要な場合は有料となることがあります。また、一部のMOOCプラットフォームでは、特定の専門知識や認定資格を取得するための有料コースも提供しています。
オンライン大学の学位は、対面での大学と同じ価値がありますか?
多くのオンライン大学の学位は、対面での大学と同等の価値があります。ただし、認証機関や大学の評判により、学位の価値が異なる場合があります。学位取得を検討する際には、対象となる大学が適切な認証を受けているかを確認することが重要です。
MOOCはどのような人に向いていますか?
MOOCは、自分のペースで学習を進めたい人、特定のスキルや知識を短期間で習得したい人、またはコストを抑えたい人に向いています。また、自己管理能力が高い人や、既に専門的な知識がある人が、より効果的に学習できます。
オンライン大学で提供されるプログラムのカリキュラム内容はどのようなものですか?
オンライン大学のプログラムは、伝統的な大学と同様のカリキュラムが提供され、授業、試験、プロジェクト、グループ活動などが含まれます。学位プログラムや認定プログラムは、専門的な知識やスキルを体系的に学べるように設計されています。
MOOCのコースを受講するために、特別な前提条件や学歴が必要ですか?
多くのMOOCは、特別な前提条件や学歴なしに受講できますが、特定のコースでは基礎知識やスキルが求められることがあります。コースの説明や要求される前提条件を確認して、自分に合ったコースを選ぶことが大切です。
オンライン大学の学位プログラムはどのくらいの期間で修了できますか?
オンライン大学の学位プログラムは、学位の種類や学習の進度によって異なります。一般的には、学士号で3~4年、修士号で1~2年、博士号で3年以上かかることがあります。フルタイムまたはパートタイムでの学習選択ができる場合もあります。
MOOCで学んだ内容をどのように実務に活かすことができますか?
MOOCで学んだ内容は、実務においてスキルアップや専門知識の強化に役立ちます。実際のプロジェクトや業界のトピックを扱ったコースも多く、学んだ知識を実際の仕事に応用することができます。また、MOOCで取得した証明書は、履歴書やLinkedInプロフィールに追加することで、職場での評価に繋がることがあります。
オンライン大学とMOOCのどちらを選ぶべきかは、どのように判断すればよいですか?
自分の学習目的やキャリアゴールに基づいて判断するのが良いでしょう。MOOCは短期間でスキルを習得したい人に向いており、オンライン大学は正式な学位や資格を取得したい人に向いています。また、予算や時間の制約も考慮して、自分に最適な学習方法を選ぶことが大切です。
MOOCとオンライン大学の学費の違いはどのくらいですか?
MOOCは基本的に無料で提供されることが多いですが、認定証や追加リソースには費用がかかることがあります。一方、オンライン大学の学位プログラムは、学費が高額であることが一般的です。学費はプログラムの内容や大学によって異なりますが、1年間の学費が数十万円から数百万円になることがあります。
あなたに最適な学びの選択肢を見つけるために
オンライン大学とMOOC、それぞれの特徴や利点、デメリットを理解することで、自分に最も適した学習方法を選ぶ手助けになるよう情報をまとめました。オンライン大学は、正規の学位や専門資格を取得したい方に最適で、体系的なカリキュラムと高い教育の質を提供します。学費は高めですが、深い専門知識と学位を手に入れることができ、キャリアアップに直結することが多いです。
一方で、MOOCはコストを抑えつつ、短期間で特定のスキルを習得したい方に向いています。自由度が高く、自分のペースで学習を進められるため、多忙なライフスタイルやスキルの補完を希望する人におすすめです。ただし、MOOCは学位を提供しないため、学習成果を履歴書に反映させる際には、取得した証明書の活用や実務経験の積み重ねが重要です。
どちらの選択肢も、学ぶ目的や目標、予算に応じて選ぶことが大切です。まずは自分の学びたい内容やゴールを明確にし、各プログラムの特徴をよく理解した上で、最適な学習方法を選びましょう。どちらを選んでも、スキルの向上や知識の習得はキャリアや個人の成長に大いに貢献することでしょう。
それでは,人生サバイバル,パパは今日も元気に生きてます!