【GALAXY】サムスン電子の歴史と貿易問題

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世界シェアNo.1のアンドロイドスマホと言えば「Galaxy」。このスマホはサムスン電子より販売されています

このサムスン電子は韓国を代表する電子機器メーカーで原音では「サムソンジョンジャ(삼성 전자)」であるが、日本進出時に「サムソン」を名乗る会社が複数あったためローマ字表記を準拠し「サムスン」となったと説が有力です。

サムスンは元々、スマホ以外にもスマートテレビや半導体などを研究開発しており、研究費は2018年世界1位の投資をしており世界経済に大きな影響を及ぼしています

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サムスンと韓国政府の関係

サムスンは韓国経済と大きな関わりを持ちサムスンは韓国経済の指標と言っても過言ではない。

では韓国政府とサムスンの関係を紹介します

韓国のGDPはサムスンに依存している

韓国のGDPの1/4はサムスンで賄われている

サムスンは財閥企業

サムスンは同族の独占企業団体です

会長:李 健煕(イ・ゴンヒ)

2014年5月10日の夜、急性心筋梗塞で意識不明状態(〜2019年5月8日)

副会長:李 在鎔(イ・ジェヨン)

前大統領への「贈収賄事件」で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年(2018年2月ソウル高裁の判決)
高裁へ差し戻し、賄賂額「36億ウォン→86億ウォン」

経済犯罪であった場合

その額が50億ウォン以上の場合「無期または5年以上の懲役」

【日本輸出規制強化】半導体関連3品目

  • エッチングガス(フッ化水素)許可
  • 半導体やディスプレイの製造に必要な感光材(レジスト)許可
  • ディスプレイ用樹脂材料(フッ化ポリイミド)

【サムスン】フッ化水素問題

2019年9月ホワイト国の対象外となっても審査を通れば輸入可能。以前よりも手続きが増えた分入手に手間がかかるようになる。

サムスンは半導体の量産ラインで「フッ化水素」の使用開始を9月4日明らかになった「供給先を多様化する一環で、一部ラインで日本製以外のテストを進めている」

フッ化水素は中国から輸入し、韓国メーカーが加工したもの。SKハイニックスも日本製に変わる代替え品が量産ラインに使えるか試験中。

日本のフッ化水素

韓国が輸入するフッ化水素の最大の輸入先は中国。しかし半導体生産に使う「超高純度品」は日本の「ステラケミファ」と「森田化学工業」で90%のシャアを占めている

日本も中国からフッ化水素を輸入し純度を高めて韓国へ輸出している

LG displayフッ化水素の自社生産成功

2019年9月から適用開始予定

LGで生産したものはディスプレイ用のため、高純度を必要とする半導体の代用は困難(純度が足りない)

DRAMはマイクロンがトップ

マイクロン2019年9月15日より「1Znm世代のDDR4」の量産を日本と台湾で開始

1Znm世代のDDR4(2019年9月15日)

世界初となる「1Znm世代プロセス」採用
16GビットのDDR4の量産開始
日本と台湾工場で製造

性能

1Ynm世代プロセス8Gビットと比較し、消費電力40%削減

メリット

コンピューティングDRAM(DDR4)・モバイルDRAM(LPDDR4)・グラフィクスDRAM(GDDR6)に向け、相対的な性能と消費電力を改善する

サムスンの2倍の容量で消費電力1/4

フラッシュメモリ

マイクロンがシンガポールの「NAND フラッシュ工場」を拡大。2019年8月15日(EE Times Japan)

モバイル機器向けに、モノリシックの16GビットLPDDR4X DRAM

モバイル機器向けに、モノリシックの16GビットLPDDR4X DRAMの量産も1Znmプロセスで開始

16GビットLPDDR4X DRAM性能

16GビットLPDDR4Xのダイは、単一のパッケージに最大8個までスタックでき、最大16Gバイトを実現できる。前世代のLPDDR4で使用されているパッケージの実装面積を増やさずに、前世代のメモリ容量を2倍にできる

動作クロックは最大で4266Mビット/秒(bps)。4K動画の再生など負荷の高いアプリケーションにおいて、前世代品と比較して最大10%消費電力を削減

生産体制

2019年6月日本(広島工場)、同年8月シンガポールのNAND型フラッシュメモリ工場拡張完了
供給量は市場傾向と合わせた計画を行う

サムスンよりも効率的な製造が開始される

C P UではTSMCと競争

サムソンに次いでTSMCが次世代プロセス「5nm プロセスを利用した半導体」の生産を開始

5nmプロセスの性能

従来の7nmプロセスと比べ

  • 密度25%高まり
  • 性能は10%向上
  • 消費電力20%削減

5nmプロセスの生産体制

2020年から5nmプロセスを採用したチップの量産開始
TSMCは韓国サムスンとの激しい競争を勝ち抜く態勢整う

TSMCとは(2019年7月2日

半導体受託生産の世界大手、台湾で3000人以上の技術者を新規採用する。人工知能(AI)や次世代高速通信「5G」関連の半導体需要の開拓に向け積極投資を打ち出す

【世界ディスプレイ】BOE社の需要顧客

BOE社(中国の液晶ディスプレイ、デバイス開発・生産・販売のグローバルカンパニー)

65インチ
  • サムスン電子
  • G電子
  • ソニー
75インチ
  • サムスン電子
  • ソニー

液晶パネルはBOEがトップ

韓国パネルメーカーでは40インチ〜50インチ台の比率が高く、BOEでは32インチ生産が主流生産となっているが、BOE(中国国有パネル企業)の10.5世代工場を稼働した結果

2018年第4四半期の75インチ液晶パネルの生産が303000台で世界1。2位のサムスンは27万3000台、3位のLGディスプレイは26万8000台となった

ちなみに65インチ液晶パネルは
1位サムスン(144万7000台)
2位BOE(131万9000台)
3位LGディスプレイ(108万4000台)

(2019年2月20日ET News)

10.5世代液晶パネルとは

75インチパネルを1つの基盤から6枚同時に製造することが可能
面取り率94%(面積活用率が高い)

サムスンの8.5世代液晶パネルは

1つの基盤から2つの規格パネルを同時に製造するマルチモデルグラス(MMG)工法を適用。75インチ2枚と49インチ2枚を生産する
面取り率85%と面積活用率が低い

中国「チャイナスター」も10.5世代工場の稼働準備中

日本と韓国

キーマン:韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領

日本政府が発動した半導体材料の対韓輸出規制強化で韓国側が受ける経済的ダメージが不可避であることを事実上認めた

韓国は超輸出大国

2017年IMFの調べで韓国の経済はほぼ輸出で賄われている

  • 日本:14.3%
  • 韓国:37.5%

日本を基準に考えると2倍以上の輸出を行っている

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領
「韓国の製造業は世界6位の規模を誇る」(文氏)

輸出の多くを半導体に頼り、素材や設備分野での対日依存度が高いという韓国経済の構造的問題が根本にある。

韓国経済は輸出依存型

韓国経済は輸出依存型で、国内総生産(GDP)の約37%を輸出が占める。半導体は輸出の20%余りに上り、韓国経済を牽引(けんいん)する数少ない分野だ

6月の輸出は、米中摩擦などを受けた半導体不振が響き、前年同月比13・5%の減少。海外との取引や投資収益の状況を示す経常収支が4月には7年ぶりの赤字となり、赤字額は6億6480万ドル(約718億円)だった。1~3月期のGDP成長率は前期比0・4%減(韓国銀行)と10年ぶりの低水準となった。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領
「部品、素材、装備産業の育成を最優先課題の一つとし企業を支援する」と強調。「企業も技術開発と投資を拡大し、部品・素材業界との協力で対外依存型の構造から脱皮するよう注力してほしい」と訴えた

韓国の懸念「輸出規制問題」

韓国社会が懸念しているのは、輸出規制強化への当面の対処だ。日本企業が規制対象の3品目で世界に占めるシェアは70~90%。サムスン電子やSKハイニックスなど韓国企業の対日依存度は高く、企業の在庫は1カ月分程度という。しかも、日本製の高品質素材の供給が途絶えかねない

韓国財界はこの現実に焦りを見せており、台湾など日本以外からの素材調達に奔走している

なぜなら、基本的な構造問題を熟知する財界には、文氏の発言が極めて“のんき”なものに映っている

「日本は経済力でわれわれよりずっとリードしている経済強大国だ」と文氏は日本の存在感を認め、「対応と対抗の悪循環は両国いずれにも決して望ましくない」と今は「企業の被害の最小化を図る」ことが最優先で、短期的な対応をとるのに手いっぱいとなっている。

サムスンとベトナム

韓国サムスン電子グループはベトナムIT(情報技術)2位のCMCコーポレーションの株式25%を取得することを決めた。

サムスンはベトナム北部に2カ所のスマホ工場を持ち、南部には家電工場を構えている。サムスン製品はベトナムの総輸出の約25%を占めており、同国での存在感が大きい。

ベトナムのサムスン離れ

ベトナムの19年1~3月期の輸出全体では4.7%増と全体より低い伸びだった。韓国サムスン電子の低迷が響いた。ベトナムの輸出は3分の2が外資系企業によるもので、そのうち約4割をサムスンが占める。サムスンはベトナム北部に2カ所のスマホ工場を持ち、同社の好不調がGDPに大きな影響を与えてきた。携帯電話や電子部品の輸出は前年同期比4.3%減少した。

韓国経済

4月、韓国の経常収支が7年ぶりの赤字に転落
経常収支が赤字に転落

【赤字の原因】

韓国の輸出が急速に減少したため

【赤字の背景】

輸出依存度の高い中国経済に減速感が出ている
主力の輸出製品であるスマホなどIT関連機器の需要が落ち込んでいる

特に、サムスン電子の半導体事業の減速は顕著

これまで半導体を輸出の主力製品として経済成長を実現してきた韓国にとって、経常収支の赤字転落は輸出主導型経済の行き詰まりを意味する。

当面、輸出の大幅な回復と見込むことは難しい。それに加えて、足元のウォン安が輸入物価を上昇させ、経済を圧迫する懸念もある。それは、社会心理を一段と悪化させ、韓国の政治と経済の停滞懸念を高めることになりそうだ。

韓国経済の財閥構造

韓国経済の2つの大きな特徴

①韓国経済がサムスン電子を筆頭とする「財閥(チェボル)企業」の業績拡大に依存している

サムスン電子1社の売上高は、韓国のGDP(国内総生産)の15%程度を占め、上位10社の売り上げを合計するとGDPの45%程度に達する。なお、サムスンの営業利益の70%程度が半導体事業からもたらされている。

これはかなりいびつな経済構造だ。事実上、サムスン電子など一握りの財閥企業の業績が、韓国経済の成長を左右している。

財閥企業の経営が揺らげば、韓国経済そのものが大きく傷つく

②貿易への依存度が高い

韓国の貿易取引はGDPの80%程度に達する。これは、わが国の2倍以上の水準だ。韓国経済は、わが国などから資材を調達し、それを用いて半導体などの製品を生産し、それを中国などに輸出することで成長してきた。また、韓国政府は企業業績を,かさ上げするためにウォン安を重視してきた。

過去数年間の韓国の輸出を見ると、サムスン電子の株価とかなり相関が高い。

近年サムスンと韓国政府の流れ

2016年初旬ごろから中国では景気対策が進み景気が徐々に上向いた。中国は「中国製造2025」の推進のために半導体を買い求めた。加えて、世界的にスマートフォンが急速に普及し、データセンター向けのDRAM需要も高まった。

サムスン電子は、その需要を取り込んで半導体輸出で収益を獲得した。2017年秋口まで韓国の輸出は増加基調で推移し、ほぼ同じタイミングで同社の株価も最高値をつけた。この時期、韓国の消費者信頼感も大きく上昇した。2017年11月には、韓国銀行が利上げを実施した。近年の韓国経済は、サムスン電子の半導体輸出に支えられたのである。

2018年韓国の輸出は伸び悩み始める。

公共事業の削減に加え米中の貿易戦争から、中国経済が急速に減速

世界的なスマートフォン販売台数の鈍化
データセンター向け設備投資の一巡から半導体市況が悪化

2019年に入ると、米中摩擦の激化や欧州の政治混乱から多くの企業が設備投資を手控え、半導体需要がさらに落ち込んでいる。
その結果、年初から5月末まで、韓国の輸出は前年同月比ベースで減少している

以上が韓国の経常赤字の原因です

経常収支とは、海外との財(モノ)やサービスの貿易や、投資(例、海外子会社からの配当受け取りなど)の状況を示す。

経常収支が黒字であるということは、その国が海外からお金を受け取っているということを意味する。反対に、経常赤字である国は、海外に対してお金を支払わなければならない。

2018年、韓国の経常収支は764億ドル(約8兆3000億円)の黒字だった。このうち、貿易収支が約1120億ドル程度と、圧倒的に大きい

財閥企業の輸出競争力を高めることで成長してきた韓国にとって、経常収支が黒字であることは経済が成長していることの裏返しだ。

2019年第1四半期、韓国の実質GDP成長率はマイナス0.4%に落ち込んだ。原因は、企業の設備投資と輸出が減少したため

その上、4月の経常収支が赤字に落ち込んだ。これは、輸出主導型の韓国経済が成長の限界に直面したことと言い換えられる

米中の摩擦激化は世界のサプライチェーンを混乱させ、貿易取引は低迷する

サムスン電子では、半導体事業に加え、スマートフォン、ディスプレーの主力3事業が総崩れだ。加えて、LG電子の液晶事業も急速に業況が悪化している。稼ぎ頭のエレクトロニクス産業の業績が急速に悪化する中、韓国が輸出で成長率を高めることはかなり難しくなっている。

今後の韓国の動きも合わせサムスン電子の技術発展に期待したい